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・絵画展「パウル・クレー  おわらないアトリエ」

2011年07月17日 11:13

 13日ブログに書いた 「ジョセフ・クーデルカ」 写真展に行った日は,同じ東京都写真美術館の 「世界報道写真展2011」 と,東京・北の丸公園の国立近代美術館でやっている題記タイトルのクレーの展示会も覗いていた。ド暑い中,よくも三つも見て回ったものである。しかもこの二つの美術館の間の移動は,地下鉄もJRも乗り換えなしではいかない不便な位置関係にある。
 この猛暑下で2か所を消化するというムチャはやりたくなかったが,なにせ熱中症の心配をおしての大嫌いな都心への外出だから,一回で済ませた方がいいという気持ちが勝った。

 クレーの絵の展示会には,何度か行っている。ベルン美術館 (2005年に設立されたパウル・クレー・センターに多くの作品が移されるまで多数のクレー作品を展示していた,その時期) に2回,佐倉・川村美術館,横須賀美術館という記憶がある。そして,今回の国立近代美術館である。
 5回目ともなると初めて拝見ではないものもあるだろうが,なにせクレーの作品は 9600点に及ぶというから,皆初めてという確率のほうが高い。おまけに記憶力は凄まじく劣悪ときているから,特に5回目という回数は何の意味も持たないようだ。

 今回は,副題がタイトルに書いたように「おわらない アトリエ」とされている。英語での展示会名は 「PAUL KLEE | Art in the Making 1883-1940」。 1883年はクレー4歳の年で,1940年は没年。クレーは1911年から,4歳の時の絵を手始めに作品タイトル・制作年・作品番号・使用した材料や技法などを細かく記した「作品リスト」を残している。WEB上の 〝展覧会趣旨〟 によれば,クレーにとっては, 「何を使い,どのように作ったかということは,この画家にとって極めて重要な関心事であっただった」 とされており,このリストのみならず,クレー自身で撮ったアトリエ内部の写真(絵具,書きかけのキャンバス,イーゼル,壁の腰板に並べられた絵など)も,彼にとっては作品制作の一プロセスなのである。

 この展示会は,そのリストを基に, 〝何を使い,どのように作ったか(制作プロセス)〟 を彼のアトリエを覗きこんだかのごとくに見せようというものである。約180点の作品は,自画像など一部を除いて下記のように六つの群に区分けされている。

1.「現在/進行形 | アトリエの中の作品たち」
2.プロセス1 「写して/塗って/写して | 油彩転写の作品」
3.プロセス2 「切って/回して/貼って | 切断・再構成の作品」
4.プロセス3 「切って/分けて/貼って | 切断・分離の作品」
5.プロセス4「 おもて/うら/おもて    | 両面の作品」
6.「過去/進行形 | “特別クラス”の作品たち(クレー自身が試金石的ないし模範的作品と考えた作品群)

 本展示会構築の基本的アイデアは,この作品群の分類の仕方に表れている。つまり,分類に見られるようにクレーの作品は常にどこかに向けてのプロセスの途上にあるという見方である。こう捉えて初めて, 「おわらない アトリエ」 という副題に意味が理解できることになる。

 勿論クレーの制作プロセスが完全に復元できる訳がないから,アトリエでの制作過程を上記プロセス1~4のように再現しようとするこの試みの成功度合 (換言すれば説得力) は,担当キュレーターの知力・眼力・想像力に大きく依存することになるが,加えて鑑賞者にもそれに類する能力が要求される筈である。例えばいくつかの作品では,作品制作の途中経過が作成技法の紹介という形でディスプレイで示されるが,単なるクレー・ファンというにとどまる私にとっては,それらの技法のどこにクレーにしかない特徴があるのか,それがどのように面白いものか,そういう理解力がないから乏しい想像力でいくらかでも目的に近づこうとするしかない訳で,興味津々で理解万全ということにはならないのだ。やはり,展示されているクレー作品をあれこれと自分なりの解釈しながら眺めるのが,私の鑑賞法になるのだった。
 そういう目で眺めると,上記の各区分につけられた 〝説明〟 の Storytelling はとても巧みで,大いに私を助けてくれる。

 直近の今回のクレー展が一番興味深いものになったような気がするのだが,以前も直近のものにそう感じたに違いない。そして以前と同じように,すぐにスッカラカンになるだろうな!

 これで〝クレー展〟のブログを終わりにする積りだったが,この展示会にも見られた大変気になる現象を記録に残しておこうと思い始めたので,それを後篇にしたい。

=いずれも会場配布のパンフレットに記載のもの=
≪プロセス3 「切って/分けて/貼って | 切断・分離の作品」 に属する 〝切って〟〝分けて〟 の作品。≫
左側:「なおしている」48.2×36.4cm,チューリッヒ美術館。
右側:「マネキン」48.0×26・0cm,個人蔵


≪クレーが撮影したの彼のアトリエ:奥に自分自身も写っているが,どういう撮り方なんだろうか。


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