8月20日キヤノン,8月23日ニコン。両社がデジタル一眼レフ新製品を相次いで発表した。キヤノンは,1Ds Mark Ⅲと40D。ニコンはD3とD300。
特筆すべきは,ニコンが初のフルサイズ機 D3 を世に問うたこと。価格は約578K¥(大手カメラ販売店のWEBサイト, 以下同じ)で,1D Mark Ⅲと価格差はプラス約10K¥。秒間撮影コマ数もこれを売りにしている1D Mark Ⅲと大きな遜色はなく,フルサイズ・ファンには魅力ある製品ではなかろうか。
次に特徴的な点は,キヤノンが40Dを148K¥で発売したこと。20Dから30Dと価格を下げ,さらに40Dで一段と低価格化するというは,快挙ではなく怪挙! これは,ミドルクラスのなかの上位機種(ハイアマチュア向け)の放棄であり,製品ラインの崩壊を意味する。
つまり次のようなこと。
ハイ・アマチュアという顧客層は,‘High-’という言葉に中に自分の写真撮影愛好家としての位置づけを見出すユーザ層である。価格帯で言えば,200K¥近辺の価格なら,酒代を少々節約してもいいというクラスである。そのことによって,初級者ではないという他愛もなく意味もなく情けないプライドを感じる顧客層である。本人がそういうのだから,間違いない。
この層にとってみれば,価格が大幅にダウンした今回の40DのDIGIC Ⅲもセルフクリーニングセンサーユニットも,大きく心を動かされる要因にはならない。これらの性能・機能に加えて,APS-Hタイプへと変身し上述の価格帯なら,‘ハイ・アマチュア’のプライドを継続保持できるのであるが。
この価格なら,Kiss Digital Xの後継機(来年3月か?)を待ったほうが,得策ではないかという気持ちが走る。14bitの信号処理,セルフクリーニングセンサーユニットも採り入れられるに決まっているから。
D300は228K¥というから,まさしく私のプライドをキープしてくれる‘ハイ・アマチュア’機である。仕様・性能面でも,WEB上の紹介にチラリと目を走らせた限りでは,キヤノンに劣るところは見当たらず,有効画素数12.3メガピクセル,ファインダー視野率約100% が,頭ひとつキヤノンを抜く。
かくして,両社のエントリー・クラス,ミドル・クラス(もちろん両社はこのような区分けはしていない)の製品ラインは,下記のような状況である。(8月26日午前中の両社のWEB・製品案内によるが,キヤノンは新旧製品の掲載の仕方にルール性が感じらじられず,仕事の杜撰さ丸出し。)
〔キヤノン〕Kiss Digital X,30D,40D,
〔ニコン〕D40,D40x,D80,D200,D300
ちなみに,ハイエンド・クラスは下記である。
〔キヤノン〕
1Ds,1D,5D
〔ニコン〕
D3,D2Xs,D2Hs
ニコンのデジタル一眼レフ2007年上期の国内シェアは,キヤノンを上回った(8月24日朝日新聞)。エントリー,ミドルのクラスの弱体化が否めないキヤノンが市場地位・評価を回復できるかどうか,キヤノンしか使っていない私だが,今後の展開に興味津々である。
ところで言い忘れた話。私は40D発表日の午前中に,予約申し入れをして午後一番に入金を済ませた。白鳥撮影のため,秒間撮影コマ数6.5枚・RAW連続撮影17枚に惹かれたのである。
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