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・森山大道展 

2008年05月25日 14:43

 場所は,東京都写真美術館。展示会の内容は,添付写真(配布パンフレット)に見る通りの,森山大道の足跡を辿るという位置づけの「レトロスペクティブ1965-2005」,および彼の最新作品と説明のある「ハワイ」の二つである。2008年6月29日(日)まで開催中。

 開催フロアや主催者の一部が異なるためか,企画者が別の人なのか(パンフレットの解説には, 岡部友子 学芸員 と署名があるから,二つともこの方の企画か?),あるいは森山大道本人の意向によるのか(恐らく,これ!),理由は分からないが,額装・展示の方法,照明の当て方など,二つの展示会の‘見せ方(仕掛け)’に違いがある。そして,この違いが気になるから,この仕掛けは,森山作品の作風の違いに思いを至らせる意図を持っているのかなどと詮索しまうのである。

 ここに掲載したパンフレットの写真に見るように,この展示会は,それぞれが一つの展示会の二部構成を成すというメッセージが強く示されているので,私が受けた上記の印象(つまり,作風の変化を示すための二部構成の展示会)は,ここにも影響を受けているのかもしれないのだが,こういう疑問を抱きながら会場巡りをすることになった。
(勿論,パンフレットにはこの辺りを解明してくれ記述は一切ない。だから素人は,楽しい苦しみを味わうことが出来るのである!)

 最初に見た「レトロスペクティブ1965-2005」では,大まかな時代区分を設けてその時期ごとの作品を並べ,撮影場所や作品集などのタイトルを付して作風を抽象化するという作業が行われている。森山写真の変遷をいくらかでも感じたくて,私はその会場で行きつ戻りつを繰り返した。

 「レトロスペクティブ1965-2005」の作品群から受ける衝撃は大きい。
・・・・眼前の路上風景,芝居小屋の楽屋,女性の足の裏,枯れた花などの現実は,被写体として森山のコンパクトカメラに掴み取られ,その場所から剥ぎ取られてもうその場には残っておらず,跡には,奈落のような暗い穴が開いているのではなかろうか。だから穴が暗い分だけ,切り取ってきた現実は力が強い。そんな印象を受けるのである。

 森山は,目で見て体のどこかの器官で,或いは全身で,瞬時にそれを被写体に変えてしまうのだろう。ものごとに向けた凝視力の強さがなせる仕事だということか。ノーファインダーでコンパクトカメラに収めてしまうことも多いというが,これも,この瞬時に被写体を捉える力の強さの賜物であろう。

 そういう印象を抱いて「ハワイ」の作品群に接すると,ここでは,写真を撮る姿勢になにやら変化があると見ていいのではないかという気持ちになった。2004年から足かけ3年間に撮影された作品を並べた「ハワイ」では,「レトロスペクティブ1965-2005」に見られるような圧倒的な被写体の抽象化あるいは感じたものの抽出の力は,さほど強くないと言えようか。

 「ハワイ」では,被写体の原点というのかそういう根源的なもの,換言すればノスタルジーのようなものを素直にスッと切り取るという姿勢が感じられる。だから,まっすぐに共感できるものや,ここでは私もそういう風に撮るかだろうなと思ったりする作品に出会うのである。つまり,私の目線にまで作品を引き下げて鑑賞するという行為も可能な,そういった作品が多いと感じた。

 逆にそれだけに,森山と鑑賞する人(私)の両者の被写体への思い・距離などの違いが明らかな場合は,‘海上の奥に浮かぶ島’(タイトルは,単に「ハワイ」だったと思う。)の写真のように,共感しない,分からない,不思議だ,どうしてこういう風に撮るんだろう,などという意味合いで興味を覚えるという,面倒な事態が生じてくることもある。

 この新作群「ハワイ」は,最初の私の疑問のように,森山大道の写真の歴史の中で,ここに来て作風の転換があったということを示す展示会なのだろうか。或いは,まだ位置づけを確保していない作品ということなのだろうか。
 森山本人は,パンフレットにこう述べている。
 「・・・ぼくはもうずいぶん以前から,ハワイは一度撮っておきたいと考えつづけていた。ハワイはぼく  にとって,日常の撮影のルーティンワークから側に沿って,ひそやかに流れるもう一本の水脈のよ  うな感じとしてあった。」
 この言葉は作風の変化とは直接結びつかない。だが‘もう一本の水脈’なら,‘変化’とまではいえないにしても,森山の表現の多様性のうち,初めて公開された部分というべきか。

 この展示会に感じた疑問とは,以上のようなことである。無知蒙昧に重ねた独断と偏見をベースにモノをいうのは,ど素人の強み! 
 大変に楽しんだ「森山大道展」だった。

 この展示会を機に識者たちの執筆による「森山大道論」(淡交社)が発行されている。この展示会の図録のような性格の本らしい。買って帰ろうとしたが,会場を出た後は,飲み会が待っている。大きな本の持ち歩きは避けたいので,バッグに入る文庫の「犬の記憶 終章」だけを購入(実は2冊目。一冊目は行方不明)。
 昨日のWalking途中で,「森山大道論」の取り寄せを依頼してきた。

《パンフレットの表紙。文章は本人のもの。》



《上半分を拡大:写真は「ハワイ」の中の一枚》


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コメント

  1. ももの | URL | -

    おはようございます。昨日は朝8時家を出て夕方6時半帰宅。病院で検査でした。内容は大腸検査。全くイヤになります。
    わかりにくい文章は,書く人が分かっていないからだそうです。文字がずらっと並んだぶログだったら,読まないのが賢明ですよ。

    でも,写真っていいですね。

  2. 小彼岸桜 | URL | mQop/nM.

    脳みその違い

    こんにちは。
     いつもながら「ももの」さんの文章は軽くサッと読むには
    相当高いレベルで書かれているらしく何度か読み返しました。そして分ったのは脳みそのレベルの格差でした。
    パンフ一枚から色々と思考が発展していく・・・凄いです。

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